2017年

サトウ ヒトミ写真展『イグアナの息子』 2017年2月3日~19日

「イグアナの息子」 文/サトウヒトミ

「イグアナの娘」はどこかで聞いたことがあると思う。
萩尾望都による漫画作品(1992)で、醜形恐怖症と母娘の確執を題材にした
異色作である。醜形=ブサイクの象徴として、イグアナが登場する。TVドラマでも、鏡に映るとイグアナの顔になっている菅野美穂が話題になった。
 
さて、「イグアナの息子」であるが、
ことの始まりは、地元の夏の縁日のくじ引きである。息子が小さなイグアナを
引き当てたのだ。そう、我が家にはイグアナの姿をした息子、、、ならぬ
本物のイグアナが居た。(一昨年他界してしまったので過去形になるが)
醜いどころか、イグアナは凛々しく美しく、愛おしい存在として成長した。
写真は私のイグアナ溺愛記録のようなもので、タイトルは似ているものの、
描く姿は真逆である。しかし、くじを当てたのは息子で、それを知ってか知らでか、私の溺愛を他所に、イグアナは息子のことが大好きであった。
いつも息子を目で追い、側に居ると安心とばかりにぴたりと寄り添う。
そんな風にして、手のひらに乗っていたイグアナは、1.5mにまで成長した。

鋭い爪を持ったイグアナは、抱き上げようとすれば、意図せずともこちらは
傷だらけになってしまうのだが、息子だけは素手でひょいと抱き上げても
全く怪我をしない。おそらく、二人の間には特別な言葉があったのだろう。
私はイグアナと居る時間は長かったが、その関係は最後まで築けなかった。
理解しているようでも、イグアナの言葉を結局聞くことが出来なかったのだと思う。それは、理解することでなく、ただ分かる、ということなのかもしれない。イグアナがいなくなった日から三日間、息子は家に戻らなかった。きっと
空からのイグアナの声をどこかでじっと聞いていたのだろう。 
 
マイペースな息子のことは、宇宙人とか異星人、などと例えてきたけれど
おそらく、いつまで経っても、ただ分かる、という境地に至ることは出来ないのかもしれないなと、ふと思う。 

2017 立春

サトウヒトミ 横浜生まれ。東京都在住。お茶の水女子大学 舞踏教育学科卒業後、JAL国際客室乗務員勤務。東京ビジュアルアーツで写真を学ぶ。2006年、写真新世紀佳作。2016年、サロンドトーヌ展(絵画)入選。同年、日本カメラ社より写真集「イグアナと家族と陽だまりと」を刊行。

February 3(Fri) – 19(Sun) 『Iguana boy』Hitomi Sato Photo Exhibition.   Gallery hours during the exhibition are 13:00-19:00 from Wednesday through Sunday.The Gallery is closed on Monday,Tuesday.   When there is no exhibition, the gallery is usually closed.


清田一樹 Dozy Voyage -ドージィー ボヤージュ‐ 1月6日~22日

January 6(Fri) – 22(Sun) 『Dozy Voyage』Kazuki Kiyota Photo Exhibition.   Gallery hours during the exhibition are 13:00-19:00 from Wednesday through Sunday.The Gallery is closed on Monday,Tuesday. When there is no exhibition, the gallery is usually closed.

このフォーカスを合わせないぼんやり写真の「Dozy」シリーズを撮影を開始してから、20年近く経っ た。(最初の展示は11年前)その間に様々なメディアがデジタル化され、世界はより緻密な描写と高彩 度、高コントラストの画像で記録され、ほぼ瞬時に情報化されて社会を駆け巡る。 正直、こう言う世界は疲れる。(考えてみると20年前から疲れていたのか?)  1971年製のカメラのファインダーを覗き、フォーカスを合わせ、フォーカスを外す。ちょうど良いボケ 具合の「フォーカスの山」を探して何度かリングを回す。形がはっきりしない、けれども何が写っているの か、判るギリギリの所を狙うのが面白い。日頃の見慣れた風景が柔らかく拡散する時、意識がその光の中に 溶け込む様な快感さえ覚える。 シャッターを押してから、ぼんやりと質感が省略されたモノクロのプリントが完成するまで、何日も、ある いは何年も時間が開く場合もある、この遅さもまた楽しい。  今回は少しずつ撮りためていた、船旅、港、海等を中心にセレクトした他、2007年に倒産したハンガ リーの感光材メーカー「フォルテ」を使った飛行機、飛行場シリーズも展示する。(文/清田一樹)

機材、感光材データ キヤノン F-1 A-1  LEITZ MINOLTA CL  フィルム イルフォードFP4P 印画紙 ベルゲールバリアブルコントラストCM フォルテPW-18 フォママルチコン トラストクラシック

経歴
1963年 北海道小樽市生まれ
1987年 信州大学繊維学部・機能高分子学科卒業 
1991年 日本写真学園入学
1994年 日本写真学園研究科卒業
1996年 フリーの写真家として活動
1998年~2005年 日本写真学園の非常勤講師を勤める
2002年~NHK学園生涯学習講座「デジタルカメラ」講師
2005年~東京デザイナー学院 非常勤講師
2011年~2015年 東京工科大学デザイン学部 非常勤講師

写真展
1992年 個展「駅より徒歩10分・深夜帰宅者の視線」     
キヤノンサロン銀座、札幌、福岡、梅田
1997年 個展「冬景色・小樽」 コニカプラザ新宿
2002年 個展「麻布台無人横丁」 コニカプラザ新宿
2004年 グループ展「Projection Project」ギャラリーDAZZLE
2005年 個展「`Round Midnight・深夜徘徊者の視線」 コニカミノルタプラザ新宿
2006年 個展「Dozy」ギャルリ ドゥミ・ソメーユ(東京銀座)
2006年 グループ展「stereo town」 moDel T(池袋)
2007年 個展「Dozy~docoka」ギャルリ ドゥミ・ソメーユ(東京銀座)
2008年 個展「Dozy~Autumn&Winter」ギャルリ ドゥミ・ソメーユ(東京銀座)
2009年 個展「Dozy~Mystery」ギャルリ ドゥミ・ソメーユ(東京銀座)
2010年 個展「Dozy~Over the River」ギャルリ ドゥミ・ソメーユ(東京銀座)
2011年 個展「Dozy~Jet Airliner」ギャルリ ドゥミ・ソメーユ(東京銀座)
2013年 個展「FREE AS THE WIND」神保町画廊(東京 神保町)
2014年 個展「Dozy~Once more」神保町画廊(東京 神保町)
2015年 個展「FREE AS THE WIND 2015」神保町画廊(東京 神保町)