神保町画廊にて展覧会開催 11月8日(金)~17日(日) 13時~19時 会期中無休
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真珠子の壁 -龍の背に乗って-
真珠子、2024年、辰年、年女。家族も4人が辰年という節目の年。
春に引っ越しをし、生活環境が変わり、心境の変化も多々あった中、家のリフォームを機にフレスコ画に目覚めました。
壁に漆喰を塗る時に、半乾きの状態で着色していくと、1000年持つ絵画になるという、それがあの有名な技法「フレスコ画」だと知ったのです。私が初めて訪れた海外の地はイタリアのローマ、フィレンツェだったのですが、そこで見た美しい宗教画の数々をわくわくと思い出していました。あれは全部、フレスコ画だったな、と。
あの時は、描き方を知らなかったのですが、今、その面白そうな工程にどうしても抗えず、好奇心のままに情報を集めながら、制作を続けていますと、目を疑うような資料が手に入りました。
澁澤龍彦著「黒魔術の手帳」によると、四世紀、エジプトでは宗教が迫害された時代、司祭たちは自分の寺院を捨て、流浪の旅に出ましたが、その時、持ち運びやすいように、寺院の壁に描かれていた数々の教えを示した絵をくり抜いて、小さなカードの形にして持っていくことを忘れなかったそうなのです。
それが現代に続く、タロットカードの源流説だということを知りました。
そして同じく、キリスト教繋がりの聖書が大量にグーテンベルク機によって刷られ宗教戦争が起こった地、天草は真珠子の故郷であり、2017年に天草の特産品である陶石を使用して制作した東京では初展示となる全長5m以上に及ぶ焼き物タイル「アズレージョ」作品もやはり絵物語のように龍の背に乗って、天草四郎、天正少年使節団、楊貴妃、勝海舟、頼山陽、油すまし、林芙美子、木山弾正とお京の方などの天草に伝わる民話や伝説などの物語を伝えています。
「壁」という当時のSNS的存在のシンクロに、改めて気が付かされた真珠子が国境を越えた宗教や歴史、文化の「絵の伝言板」であった「壁画」という媒体を表現し、考察します。