二階 健 「赤い蝋燭と人魚」

アトリエサード刊「赤い蝋燭と人魚」出版記念

二階 健写真展「赤い蝋燭と人魚」
2月9日(金)~18(日) 13時~19時 会期中無休
神保町画廊 MAP🔗 


二階健 最新刊「赤い蝋燭と人魚」出版記念展に寄せて

「赤い蝋燭と人魚」は今から100年以上も前に書かれた日本最初期の童話です。
人間社会にあふれている打算や、醜いエゴイズムを鋭く抉った作品で、情景描写が美しく、強い迫力で迫って来ます。これは作者自身が幼少の頃、祖母から聞いた人魚伝説や、幼年時代に預けられた家の隣りがろうそく屋だったこと、中学時代に下宿した家に足の悪い中年婦人とその娘が住んでいたことなどが、着想の元になっているようです。

この「赤い蝋燭と人魚」は100年も前に、この荒廃した現代社会を予言していました。
簡単に親や子を殺す事件が頻繁に起こり、人と人の繋がりが希薄になった現代社会に対する警告をしていたように思います。
自然や動物よりも、この世界で一番残酷で、醜い生き物は人間なのだと。今 何かを変えようとしないと、この物語の結末のように世界は滅びてしまうのだと。この作品を通して、人間以外の存在に対する敬意や、自分の周りにいる大切な存在に対して、人間特有の醜いエゴイズムで大切なものを傷つけていないか、考える機会を提示出来ればと思っています。

二階健

赤い蝋燭と人魚 あらすじ


二階 健(にかい けん):ヴィジュアル・詩
映画「Soundtrack」(柴咲コウ・SUGIZO:主演、二階健:監督& 脚本)は、セマナ国際ファンタスティック映画祭(スペイン)にて最優秀脚本賞& 最優秀撮影監督賞をW受賞。松竹全国公開「下弦の月〜ラスト・クォータ ー」(栗山千明、成宮寛貴:主演、矢沢あい:原作、二階健:監督& 脚色)。ベルギーの世界的絵本であるガブリエル・バンサン原作「アンジュール」を世界初のオフィシャルアニメーション化(音楽:坂本龍一、監督:二階健)。
他にラルク・アン・シエル、HYDE、VAMPS、Halloween Junky Orchestraなどのミュージックビデオ、アトリエサードよりアート作品集「Dead Hours Museum」他8册を刊行。


小川未明(おがわ みめい):原作
1882年新潟県に生まれる。 
早大英文科在学中に書いた小説「紅雲郷」が認められ、十数冊の短編小説集を刊行。大正デモクラシー時代は社会主義運動に参加する一方、童話を積極的に書くようになり、「赤い蝋燭と人魚」(1921年)など多くの童話集を出版。「日本のアンデルセン」と呼ばれ、日本児童文学者協会初代会長も務めた。1953年には文化功労者にも選ばれた。1961年没。