小林修士「re-flection」

私と彼女の間にはカメラがあり空間がある。
この空間には何もないように見えるが、チリや埃が舞っていれば空気や光もある。
この距離は縮まる事はあってもなくなる事はない。
私にできる事はカメラで彼女を光と共に記憶するだけだ。

アクリル板の反射越しやソフトフォーカス、クロスフィルターなど光学的な方法で光を演出するこの作品は「re-flection」というタイトルで8年近い年月をかけて撮影を続けてきました。撮影を開始した当初はアクリル板に映る反射越しに撮影するという方法のみを使っていたので、「反射」を意味する「 re-flection」というタイトルを付けました。その後、撮影を重ねる中でアクリル板だけでなく、光学式のフィルターも使うようになり作品の雰囲気も少しづつ変わっていきました。
この手法を用いた理由は画面上の演出なのですが、同時に、アクリル越しの写り込みやフィルターにより可視化された光が被写体を包み込みはっきりと見えなくなる事で、幻想的で現実から離れた「距離」のようなものを感じる事ができるのではないかと思ったのです。
長年かけて多くの作品を撮影してきましたが、今回は初期のアクリル板を用いた作品の一部と、様々なフィルターを使うようになった中期から後期の作品を中心に展示をします。

小林修士写真展「re-flection」
2月28日(金)~3月8日(日) 会期中無休 13時-19時

Feb.28-Mar.8 Shuji Kobayashi Photo Exhibition “re-flection”


小林修士プロフィール
1989年、渡米。アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン写真学科卒業。1996年よりフリーランスとして活動を開始。ロサンゼルスをベースにハリウッドのセレブリティの撮影をする。2011年に帰国し、現在は雑誌や広告等で日本の俳優、タレント、ミュージシャンの撮影を中心に活動中。2016年3月個展「left behind -残されたもの-」開催。2017年9月に玄光社より写真集「密会」刊行。神保町画廊にて個展「密会」(2017年)及び「続・密会」(2018年)開催。