あわせのにおいがする 兎丸愛美・塩原洋写真展

昨年の展示が中止になってから、ぽっかりと穴があいてしまったような気持ちになりました。しあわせのにおいがするだなんて、なにをきれいごと言ってるんだわたしは、と思うことも正直ありました。写真を撮らなくなりました。わたしは写真に命を守られているので、写真がなくなったらほんとうにからっぽな人間になってしまう。それが嫌でわたしは無理やりでもほかにすきなものを見つけて、写真以外のことに目を向けようとしていました。それはわたしにとってよいことなのだと思っていました。
でもある日、友人になにげなくこの話をしたら「そういう人生のほうがいいよ」と言われて、ハッとして、忘れていたことを思い出すように、わたしはまた少しずつ写真をはじめることにしました。不穏な日々はあいかわらずつづいているけれど、そのなかで小さなしあわせを大切にすることしかわたしたちは前を向いて生きていくことができないのだと思います。わたしにとってしあわせを与えてくれるものは写真でしかないのです。
久しぶりの撮影は、ストロボの光も太陽の光も、これからのわたしを明るいほうへ導いてくれる希望のように感じました。はだかの写真を撮られるとき、わたしはそれをヌード写真だと思わない、いのちの風景写真だと思っています。生きていることは美しくすばらしいです、生きているだけでうれしいです、あなたが毎日笑っていてくれたらもっとうれしいです。 文/兎丸愛美

しあわせのにおいがする 
兎丸愛美・塩原洋写真展 
5月7日(金)-23日(日) 13時‐19時 月火休