大槻香奈作品展「遠いゆめを泳ぐ」
8月1日(金)~11日(月)開催 会期中無休 13時~19時
August 1–11 KanaOhtsuki Exhibition.The gallery will be open every day during the exhibition. Open 13:00-19:00.
今回の個展は「夢」にフォーカスをあて、なるべく軽やかに、爽やかに芸術をやろうと試みている。
私が最近考えていることは、「現実」と「芸術」のあいだに「夢」があるのだということ。それらは独立したものではなく、緩やかに繋がり、そしてつねに関係し続けている。
私の芸術は「日常的な平和の祈り」がきっかけとなっていて、たとえばそれは、家事をしたり散歩したり花を愛でたりする現実から始まっている。けれども、それだけでは生きるのに圧倒的に足りず、私はこの実際的な「現実」の可能性や豊かさを、あらゆる方法で、つまりは芸術行為で常に確かめたいと思っている。それがなければ、私は自分の望む現実を守ることなど到底できないだろう。
この「現実」のうつわを「夢」をみることで(絵を描くことによって)大きく押し広げること。そして夢見心地を飛び越え、創造力によって(作品に昇華することで)、また確かな現実に帰ってくること。そうした時に、私たちの抱える現実世界が少しだけバグることを期待している。予定調和ではない、いつもの日常が新鮮なものとして立ち現れることが、人間の生きることを精神的に大きく支えると思う。
私はそのために絵を描いている。一見何も変わらないようでいて確かに現実の変わる瞬間があり、そのささやかなきっかけを祈り、作り続けること。その積み重ねが私の芸術である。私たちの日々抱える感情と共に、作品が新しい日常への扉となれば幸いである。